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被爆建物・広島大旧理学部1号館から試料抜き取り 広島市、劣化や耐震調査開始

広島市が開始 活用策探る参考に

 広島市は16日、中区東千田町の広島大本部跡地にある被爆建物、旧理学部1号館の劣化状況や耐震強度の調査を始めた。初日はコンクリート壁の一部を抜き取った。約1週間かけて柱や壁に入った鉄筋の状態も調べる。来年3月末までに調査結果をまとめ、2014年度に建物の保存、活用策を探る際の参考にする。(岡田浩平)

 1号館は鉄筋3階建て延べ約8300平方メートル。1931年、広島大の前身校の一つ、広島文理科大の校舎として建設。爆心地の南約1・4キロにあり、被爆で外観を残して全焼。修復して活用された。東広島市への大学の統合移転に伴い、91年に閉鎖された。

 所有していた国立大学財務・経営センター(千葉市)からことし4月、敷地0・6ヘクタールとともに市に無償譲渡された。

 初日の16日、市が委託した建設設計業者が特殊なドリルを用い、講義室や研究室など12カ所の壁から直径約10センチの円柱状の試料を抜き取った。1階の事務室からくりぬいた試料は長さ約30センチ、重さ約5・4キロだった。中区の広島県環境保健協会でコンクリートの劣化状況や強度を調べる。

 柱や壁など147カ所を対象とする鉄筋の調査も同日始め、特殊な探査装置をはわせた。来年3月までに建物全体の強度や耐震性などの調査結果をまとめ、改修する場合の概算事業費も試算する。

 広島大本部跡地をめぐっては今月9日、センターが所有する3・8ヘクタールで再開発に当たる企業グループの事業計画が発表された。活用の方針が定まっていないのは1号館だけとなっており、市都市機能調整部は「再開発事業計画も考慮しながら今後の取り扱いを探る」としている。

(2013年12月17日朝刊掲載)

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