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「父と子」の絵 惨状伝える 原爆資料館 常設展示入れ替え

 原爆資料館(広島市中区)は、被爆者が描いた原爆の絵の常設展示コーナー「絵筆に込めて」の作品を入れ替えた。「父と子」をテーマにした6点を来年2月13日まで展示。家族を奪われた「あの日」の苦しみ、悲しみを伝える。

 安佐南区の青原久子さん(88)は、被爆死した父親の帰りを姉妹で待ちわびる様子をクレヨンなどで描いている。誰とも分からぬ男性を父親と思い、笑顔で駆け寄る当時5歳の妹の姿が胸を打つ。

 被爆翌日に3歳の娘の遺体を自ら火葬した体験を絵にした男性は「気が狂いそうだ これが現世とは思えない 地獄だ…」と書き添え、原爆の不条理を訴える。兵庫県川西市の会社員伊藤守明さん(59)は「小さい子の苦しみが一番つらい」と見入っていた。

 原爆資料館は、原爆の絵を約5千点を保管。2019年4月の本館リニューアル時に常設展示コーナーを設け、定期的に入れ替えている。(宮野史康)

(2022年10月21日朝刊掲載)

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