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本館耐震工法も来年度決定 広島市の原爆資料館

 広島市は16日、2016、17年度に予定する原爆資料館本館(中区)の耐震補強工事に向け、コンクリートの柱などから強度を調べるための試料を抜き取る作業を始めた。国の重要文化財である本館の一部に穴を開けるのは1955年の開館以来初めて。13年度中に分析し、耐震補強工事の工法を決める。

 市によると、コンクリート建築の国重文で耐震補強は前例がないという。作業を始めたのは、市が委託した文化財建造物保存技術協会(東京)などの約10人。来年1月末までに、地中の基礎部分などから直径8センチ、長さ20センチの円柱状の試料を9カ所から抜き取る。

 作業は騒音を伴うため、閉館した午後5時すぎに開始。初日は本館を支える柱や展示室のはりに特殊なドリルを押し当て、くりぬく作業を進めた。穴はモルタルで埋める。市は試料を専門の研究機関で劣化状況や強度を調べた上、14年度に耐震補強の工法を決める。

 原爆資料館本館は、世界的な建築家の丹下健三(1913~2005年)が設計し、06年に国重文に指定された。市平和推進課の石田芳文・被爆体験継承担当課長は「貴重な財産をふさわしい方法で残したい」と話している。(田中美千子)

(2013年12月17日朝刊掲載)

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