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故河内さんの被爆体験記再出版 広島の大西さん、日英併記で

 被爆直後の広島市内の惨状を収めた御幸橋西詰め(現中区)の写真に写る河内光子さん(2018年に86歳で死去)の体験記「命かがやいて 被爆セーラー服のなみだ」を大西知子さん(73)=東区=が再出版した。11年刊行の日本語版を日英併記にした。

 爆心地から1・6キロの広島貯金支局で被爆し、母を失った体験や、被災者が押しかけ混乱を極めた御幸橋にまつわる記憶を聞き書きしている。健康不安を抱きながら、家族に囲まれ生き抜いた戦後の足跡をつづる。

 大西さんは、市内公立小の臨時教諭。原爆資料館のピースボランティアとして活動し、8月6日の平和記念式典で広島市の松井一実市長が読む平和宣言の文案を検討する懇談会に出席してきた。世界中で知られる御幸橋西詰めの写真を撮影した元中国新聞社カメラマン、故松重美人さんに関する本も出版している。

 「河内さんはいつも『私は平凡な人間』と控えめに語っていた。写真を通して注目されながらも、静かに生きた一人の女性の姿を知らせたい」。東信堂刊。1760円。(金崎由美)

(2022年10月24日朝刊掲載)

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