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米艦載機離着陸訓練 候補地選定進まず 岩国180キロ圏   

 米軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機が東京・硫黄島で暫定実施している陸上空母離着陸訓練(FCLP)をめぐり、日本国内の恒常的な訓練施設の選定が在日米軍再編合意で当面の目標期限とされた7月までに間に合わないことが28日までに分かった。日本政府は既に米側に状況を通知。同時に米側が要求していた米海兵隊岩国基地(岩国市)から180キロ以内の選定を拒否し、候補地探しの範囲を広げ始めた。

 複数の日米関係筋が明らかにした。FCLPは夜間離着陸訓練(NLP)も含み、深刻な騒音被害をもたらすため、選定は今後も難航が必至。沖縄の米軍普天間飛行場移転問題に次ぐ「米軍再編の陰の難関」(防衛省筋)とされる。米側の不満は強く、厚木から岩国基地への艦載機移転自体が遅れる可能性も出てきた。

 2006年5月の米軍再編に関する日米合意は、FCLPに関し「恒常的な施設を2009年7月またはその後のできるだけ早い時期に選定する」とした。政府は広島県・大黒神島や鹿児島県・馬毛島、高知県宿毛市周辺を水面下で検討したが、地元の反対などで頓挫。選定作業を担う防衛省の地方協力局や海上自衛隊は幅広く候補地を模索している。

 防衛省幹部は「米国も選定がうまく進んでいないことを承知している」と難航を認めた。

 米国防総省は共同通信に「FCLP施設の選定は厚木の空母艦載機を岩国基地に移設する計画を支えるものだ。日本政府は米軍が受け入れ可能な恒久的施設を選ぶことを約束した」(広報担当)としている。

陸上空母離着陸訓練(FCLP)
 空母艦載機パイロットが滑走距離が短い空母での離着陸の技量を向上、維持するため、陸上の滑走路を甲板に見立てて実施する訓練。夜間離着陸訓練(NLP)はこの一環。神奈川県の厚木基地では1982年から同県横須賀を実質的な母港とする空母艦載機が飛来し、周辺住民への騒音被害が深刻化。日米両国が89年、硫黄島での暫定実施で合意して、政府は代替訓練施設を提供した。

(共同通信2009年6月28日配信、6月29日朝刊掲載)

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