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さまざまな「戦争」 葛藤描く 広島の寅卯演劇部 来月19・20日公演 女性主人公 笑いも交え

 広島市中区の立ち飲み店に集う常連客のコント芝居から始まった「寅卯(とらう)演劇部」の第4回公演「私の戦争」が11月19、20日、広島市中区のJMSアステールプラザである。福島県南相馬市で東日本大震災を体験し、広島市に移住した2000年生まれの女性主人公を取り巻くさまざまな「戦争」と成長の葛藤をリアルに描き出す。

 脚本と演出を担当する部長の上岡久美子は「政治をみても経済をみても今は戦前のような状況かもしれない。そんな皮膚感覚から生まれた作品」と話す。落合晶子、宮地綾、松本朋子、塚本明日香、青山邦恵たち16人と舞台をつくる。「日常に潜む加害性や人権侵害を浮き彫りにしていく。題材は重いけれど、楽しい舞台なので笑いながら考えてもらえれば」

 2014年から脚本を学び、演劇を始めた上岡。多くの女性が抱える生きづらさや押しつけられた役割分担への憤りなどを題材に執筆を重ね、12作目となる。前回公演で上演し、被爆作家原民喜の人生を描いた「天と地のまなか」は第27回劇作家協会新人戯曲賞の最終候補作にも選ばれた。

 19日午後2時と6時、20日午前11時と午後3時の4回公演。20日午後3時の回はアフタートークに広島市在住の作家小山田浩子さんを招く。3500円、学生・65歳以上・障害者2500円(前売りは各500円引き)。寅卯演劇部☎050(3555)9471。(渡辺敬子)

(2022年10月22日朝刊掲載)

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