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平和首長会議 女性の視点は 国内出席5人 元国連幹部は苦言

 広島市で今月あった平和首長会議(会長・松井一実市長)の総会に出席した国内の首長41人のうち、女性は12・2%の5人だったことが26日、中国新聞の調べで分かった。討論の登壇者が全て男性で、参加した元国連幹部から女性の少なさをたしなめられる一幕もあった。国際社会では核軍縮を進める上で「ジェンダーの視点」が浸透しつつあり、首長会議も一層の変革が求められそうだ。

 19、20日の総会は、国内41市区町の首長が会場で出席した。中国新聞がこれらの自治体に確認したところ、東京都の武蔵野市と小平市、埼玉県和光市、兵庫県の芦屋市と宝塚市が女性の市長だった。

 出席した首長に占める割合は、国内の全1741市区町村の首長に占める女性の割合の2・3%(2021年12月末時点、内閣府調査)より約10ポイント高いとはいえ、男女比はバランスを欠いている。海外から出席したスペイン・グラノラーズ市とノルウェー・オスロ市は、いずれも女性が市長を務めていた。

 また、20日に元国連事務次長のアンワルル・チョウドリー氏や松井市長、長崎市の田上富久市長が平和な社会の構築をテーマに討論した際には「女性参画の重要性」が話題に上ったが、登壇者4人が全て男性だった。チョウドリー氏が「加盟都市でも女性首長の増加が求められる」「パネリストのジェンダーバランスも考えなければならない」と苦言を呈した。

 首長会議事務局は中国新聞の取材に「首長会議の総会全体では登壇者のジェンダーバランスに配慮した」と説明している。

 国際社会では、核軍縮の議論に女性の参加を求める動きが進んでいる。8月にあった核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、日本を含む67カ国が核軍縮に「ジェンダーの視点」を取り入れるよう共同声明を出した。国連安全保障理事会は00年に、平和や安全保障問題への女性の参画促進を決議している。

 首長会議総会後の記者会見で、カナダ・モントリオール市のアリア・アッサンクルノル市議は世界の女性へ向け「あなたたちの声が重要で、あなたたちの声はもっと聞かれるべきだ」と呼びかけた。(小林可奈、宮野史康)

(2022年10月27日朝刊掲載)

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