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被爆の記憶継承 絵筆で 基町高生の制作始まる

 広島市中区の基町高創造表現コースの1、2年生9人が、被爆者の体験を絵画で表現する新たな「原爆の絵」の制作を始めた。県内の被爆者5人と対話を重ね、約9カ月かけて、記憶を絵筆で継承する。

 生徒は1~4人に分かれて被爆者から証言を聞き取り、それぞれ1作品を仕上げる。24日夕に校内であった顔合わせでは、声を詰まらせたり、地図や絵を示したりして当時の状況を説明する被爆者の前で、熱心にメモを取っていた。

 初めて描いてもらう広中正樹さん(83)=福山市=は5歳の時に、爆心地から約3・5キロにあった現広島市西区の自宅そばで被爆。父の背中に突き刺さったガラスを抜こうとした記憶や原爆投下翌日に亡くなった父の火葬の場面を依頼した。担当する2年福本あおいさん(16)は「無差別に市民の命を奪う原爆のむごさが伝わるよう、忠実な再現に努めたい」と力を込めた。

 「原爆の絵」の制作は原爆資料館(中区)が2007年度から同高に依頼。これまでに182点が完成し、被爆者の証言活動や県内外での展示に活用されている。(小林可奈)

(2022年10月27日朝刊掲載)

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