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被爆楽器 平和と再生の調べ 広島で3日 演奏会 原民喜に思いを寄せて

 被爆作家原民喜(1905~51年)の生誕記念日(11月15日)を控える3日、被爆バイオリンと被爆ギターを演奏するコンサートが広島市西区のコジマホールディングス西区民文化センターである。バイオリニストでシター奏者の白井朝香さん(57)とギタリストの石原圭一郎さん(64)たちが、民喜に思いを寄せながら平和の祈りを奏でる。

 「とはのみどりを/とはのみどりを//ヒロシマのデルタに/青葉したたれ」―。コンサートのタイトルは「永遠(とわ)のみどり」と掲げる。自死する直前、民喜がヒロシマの再生を願って詠んだ叙情詩から採った。

 第1部は白井さんがシターでフランスの聖歌「御母マリア」などを演奏した後、朗読グループ「Reading Notte三人座」のメンバーが民喜の詩を朗読する。第2部は、石原さんが被爆ギターでカタルーニャ民謡「鳥の歌」などを奏で、途中から白井さんが被爆バイオリンで合奏する。

 このバイオリンは、広島市内で被爆した白系ロシア人セルゲイ・パルチコフさんの遺品。現在、広島女学院歴史資料館(東区)で保管されている。ギターは爆心地から約3キロ離れた旭町(現南区)の民家で被爆した。両器とも修復を重ね、さまざまな演奏会で使われてきたが、「共演」は今回が初めて。

 公演の最後には出演者全員で合唱曲「永遠のみどり」を披露する。白井さんは「小説で生々しい被爆体験を今に伝える民喜が詩では明るい未来を願っていた。その思いに私たちの心も合わせる」と力を込める。石原さんは「初めて共演する楽器に平和への深い思いを託したい」と意気込む。

 午後2時開演。2999円(前売り2500円)。高校生以下千円。実行委員会事務局☎080(4167)6491。(桑島美帆)

(2022年10月28日朝刊掲載)

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