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「トンネルの向こうに光が見えた」 広島に避難 ウクライナのドラハンさん 工場で就労 生活基盤構築へ

 ロシアの侵攻が続くウクライナから逃れ、今月から広島市東区で暮らすドラハン・レイシャさん(30)が27日、南区の印刷工場で働き始めた。祖国に残る家族の身を案じつつ、日本で生活基盤を築き始め「トンネルの向こうに光が見えた」と前を向く。

 ドラハンさんはウクライナ北部のマルキブカ村出身。バーテンダーなどとして働いていたが、2月の侵攻開始から間もなく、家族を村に残してポーランドへ避難した。5月にウクライナ人の知人を頼って来日。岡山市や東広島市を経て、10月7日に広島市へ転居した。

 この日から総合印刷業ユニバーサルポスト(西区)の大州工場で契約社員として週3日働く。初日は、身元保証人になった美容会社社長の津波カテリーナさん(48)=南区=に通訳してもらいながら印刷機械の操作などを学んだ。「言葉の壁もあって緊張するけど、会社の役に立てるように頑張りたい」と笑顔を見せた。

 「ウクライナの犠牲者を思い出す」として、まだ原爆資料館(中区)を訪れることができないという。ロシアが核兵器使用の脅しを繰り返す中、「家族に会いたい。戦争が早く終わってほしい」と願った。

 市によると、市内で暮らすウクライナからの避難者は、ドラハンさんを含め13世帯23人。(小林可奈)

(2022年10月28日朝刊掲載)

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