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広島から 平和希求の調べ バイオリニスト正戸里佳 来月公演 戦火への思い胸に 故郷の舞台へ

 広島市西区出身のバイオリニスト正戸里佳が11月26日、「広島から平和の祈りをのせて」と銘打つリサイタルをコジマホールディングス西区民文化センターで開く。「ヒロシマは特別な場所。世界中へ発信していくのが音楽家としての使命」と、平和希求の調べを響かせる。(木原由維)

 プログラムは3曲の「バイオリンとピアノのためのソナタ」を中心に届ける。疾走感あふれるベートーベンの「第8番」をはじめ、温かなメロディーが流れるグリーグの「第2番」、力強い曲調のブラームス「第3番」。ピアニスト岡田将と協演する。

 フランスの作曲家プーランクの歌曲「平和のためにお祈りください」も披露する。プーランクが第2次世界大戦前夜の1938年、15世紀のフランスの詩に曲をつけた。「戦争への怒りや悲しみに耐えているかのような静かな音色」と正戸。ウクライナ情勢に思いを寄せ、「ヒロシマの舞台で切実な訴えを込めて弾きたい」と誓う。

 高校進学で上京するまでを広島で過ごした。2006年、17歳でパガニーニ国際コンクール3位入賞。09年に渡仏し、パリ国立高等音楽院で学んだ。パリを拠点に国内外で表現の幅を広げてきた。「楽譜は映画で例えれば台本。弾き方を決め付けずに、聴き手の表情も見ながら柔らかく演奏したい」と自然体を貫く。

 リストの「コンソレーション第3番」も合わせ計5曲を奏でる。午後2時半開演。4500円、学生と65歳以上は3500円(前売りは各500円引き)。同センター☎082(234)1960。

 11月2日には中区の広島文化学園HBGホールで「華麗なるガラ・コンサート」に出演し、メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲第1楽章を披露する。午後6時半開演。6500~3500円。RCC事業部☎082(222)1133。

(2022年10月29日朝刊掲載)

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