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シベリアや旅芸人シリーズ 宮崎進さんの画業たどる 周南市美術博物館で生誕100年企画展

 シベリアや旅芸人シリーズで世界的に知られる周南市出身の画家宮崎進(しん)さん(1922~2018年)の生誕100年を記念した企画展が2日、同市花畠町の市美術博物館で始まった。油彩画やデッサンなど同館所蔵を中心に131点を展示し「人間の生」を問い続けた画業70年をたどる。12月18日まで。

 ソ連の捕虜となり、抑留体験をモチーフにしたシベリアシリーズの絵画約30点が並ぶ。凍土が解け出し自然の力に自身の希望を重ねた「花咲く大地」は画材に麻袋を用いた晩年の12年の作品だ。麻袋は収容所で穀物の運搬に使われていた。初期の油彩画「送られてきた捕虜」もある。

 旅芸人シリーズは約10点。油彩画「見世物(みせもの)芸人」は67年、具象画の芥川賞と呼ばれる安井賞を受け画家の地歩を固めた。世の片隅で明るくたくましく生きる人々の姿を描いた。

 妻のとみゑさん(74)=東京=は「絵描きが使わないような画材を開拓し、絵の具も自分で作った。美術で生きる喜びを伝えたかったと思う」と話した。

 宮崎さんは亡くなるまで同館の名誉館長を務め、同館は作品285点を所蔵する。企画展は市文化振興財団などの主催で入館料は一般1100円。18歳以下は無料。午前9時半~午後5時。月曜休館。(山本真帆)

(2022年11月3日朝刊掲載)

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