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岩国基地 増す出撃拠点性 米韓訓練に所属機 燃料タンク増強へ

 北朝鮮が弾道ミサイルを立て続けに発射するきっかけになったとみられる米韓の合同訓練に米軍岩国基地(岩国市)の所属機が参加している。所属機は中国に軍事圧力を強める作戦にも度々加わっている。専門家は「岩国基地が出撃拠点として重要性がさらに高まっている」と指摘する。

 1日朝、4機のステルス戦闘機F35Bが岩国基地の滑走路を次々と飛び立った。10月31日から韓国周辺で実施されている米韓の合同訓練に参加するためとみられる。米韓両軍は5年ぶりとなる大規模訓練で約240機を投入し、最新鋭の機種を組み合わせた戦闘を確認している。米軍は岩国基地のF35Bの部隊を初めて韓国の基地に展開した。

 これに対し、北朝鮮は2日に弾道ミサイル23発以上を発射。3日にも大陸間弾道ミサイル(ICBM)1発を含む6発を日本海などに放った。米韓は4日に終える予定だった訓練を延長し、対抗姿勢を示す。

 北朝鮮からの一連のミサイル発射は、米韓が軍事演習を始めた9月下旬から続く。演習には米空母ロナルド・レーガンと岩国基地に飛来する艦載機が参加し、ミサイル発射は日米韓をけん制する狙いとみられる。

 一方で、米軍は6月下旬から約1週間、多数の戦闘機を東シナ海へ飛行させ、台湾海峡で動きを強める中国に対抗した。岩国基地のF35BやFA18戦闘攻撃機に加え、米国から岩国基地に一時展開していた空軍ステルス戦闘機のF22ラプターとF35Aが派遣された。

 さらに岩国基地では、現在の5倍の量を備蓄できるジェット燃料タンクとタンカーが着岸できる埠頭(ふとう)の整備が計画されている。

 世界の米軍基地を比較研究する東京工業大の川名晋史准教授(国際政治学)は「ミサイル開発を進める北朝鮮に圧力をかけるため、米軍は地理的に近い岩国を最前線として力を集めている」と分析。中国・北朝鮮との緊張が高まる現状を「準有事」と捉え「港を備え機能強化する余地がある岩国基地で運用がますます活発化する可能性がある」とみる。

 基地監視団体リムピース共同代表の田村順玄さん(77)=岩国市=は「岩国基地の米軍機が市民の知らないところで活発に動いている」と危機感を強める。(有岡英俊、川村奈菜)

(2022年11月5日朝刊掲載)

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