×

ニュース

鐘楼落成 交流拡大願う 米式典訪問メンバー 甲奴で活動報告 平和実現へ思い新た

 戦時中に三次市甲奴町小童(ひち)の正願寺から供出され、現在はカーターセンター(米ジョージア州アトランタ市)にある鐘をつるす鐘楼の落成記念式典が先月、現地であった。出席した同町住民の実行委員会メンバーが、お披露目の様子や現地での交流について地元で報告した。実行委は「交流の輪をさらに広げていきたい」とし、友好の推進や平和実現への思いを新たにした。(千葉教生)

 同町のジミー・カーターシビックセンターで5日夜にあった会合には12人が出席し、訪米した4人が振り返った。10月1日に日本庭園であった式典で、「平和の鐘」と呼ばれる鐘を突いた正願寺の吉井祥道住職(74)は「腹の底まで染み渡る素晴らしい音色だった」。

 鐘楼は日本の資材と伝統工法で建てられ、8月に完成。事前に渡米し建築に携わった大工の近藤順孝さん(68)は「スタッフが友好的で、鐘がつるされた瞬間は格別だった」と語った。

 式典にはジョージア日米協会などの関係者約500人が集い、甲奴の実行委が贈ったカーター氏の誕生日を祝うビデオが映されると、温かい拍手が起こったことなども紹介された。

 一行が姉妹都市の同州アメリカス市も訪れ、新型コロナウイルス禍で中断している相互訪問の早期再開を約束したことや、ジョージア日米協会が三次訪問を希望していることなども報告。メンバーで実行委副委員長のタン・ウォーレンさん(53)は「現地の人が甲奴とのつながりを大切にしていると感じた」と伝えた。

 報告を受けた実行委の花神佐市郎委員長(52)は「鐘楼完成の夢がかない、平和の鐘を通じた交流を発展させていきたい」と話した。

(2022年11月8日朝刊掲載)

年別アーカイブ