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米の研究者5人 被爆樹木を視察 広島市長と面会も

 米国の植物科学や生物学の研究者5人が7日、広島市中区の広島城跡に残る被爆樹木を視察した。77年前の惨禍に耐えた樹木の生態を知りたいと、初めて被爆地を訪問。「無言の証人」の生命力に触れた。

 米カリフォルニア州のサンディエゴ植物園のアーリー・ノービー園長(44)たち一行はユーカリやクロガネモチを巡り、放射線の影響とみられる樹木の特徴を確かめた。同行した樹木医の堀口力さん(77)=西区=から「爆風が当たって傷が残った。普通の樹木なら70年たてばきれいになっているはず」と解説を受けた。

 続いて市役所で松井一実市長と面会。松井市長は、平和首長会議が進める被爆樹木の種などを各国に贈る活動を紹介し「米国でも広げてほしい」と望んだ。ノービー園長たちは広島の市民団体から贈られた被爆樹木の種を育て、全米各地に贈っているという。

 視察の中で、ノービー園長は「植物の遺伝子レベルの研究などにつなげられるかもしれない」と指摘。「樹木を通じ人々が過去の出来事を学び、平和や希望について考えてもらえれば」と願った。(小林可奈)

(2022年11月8日朝刊掲載)

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