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米軍機の騒音増加 4~9月 県西部沿岸で3~1割 岩国基地拠点に訓練

 広島県西部沿岸で2022年度、米軍機が原因とみられる騒音が増えている。4~9月の半年間に大竹市の阿多田島、廿日市市の阿品台、江田島市の測定器では「騒がしい街頭」相当の70デシベル以上が前年同期より約3~1割増加した。米国本土から飛来した機体が6、7月に米軍岩国基地(岩国市)を拠点に訓練した影響が大きいとみられる。(長部剛)

 国などの測定器によると、4~9月は70デシベル以上が阿多田島で1836回あり、21年度同期の1399回から437回(31・2%)増えた。阿品台は157回で23回(17・2%)増、江田島は119回で11回(10・2%)増だった。

 基地の北東約6キロにある阿多田島は、基地を飛び立つ米軍機の飛行ルート直下にある。特に米国本土の空軍機30機が同基地で訓練した6、7月は70デシベル以上が523回で、21年の251回の2倍を超えた。うち54回は「騒々しい工場の中」に相当する90デシベル以上だった。島民男性(80)は「午前7時前や午後9時過ぎに爆音がする日がある。なんとかしてほしい」と憤る。

 6、7月に騒音が増えたのは阿品台、江田島も同様だった。一方、西中国山地の訓練空域「エリア567」の一部に当たる廿日市市吉和では4~9月、70デシベル以上が165回で21年度の197回から減った。岩国基地の拡張・強化に反対する広島県住民の会事務局の新田秀樹さん(59)=廿日市市=は「山ではなく海の上での訓練を重視したのかもしれない」とみる。

 大竹市は騒音被害の実態を国に伝えている。中国四国防衛局は「米側へ、安全面に最大限配慮し地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう求めていく」としている。同基地は中国新聞の取材に、騒音増加の要因など訓練の詳細については「言及しない」とし、高い高度で訓練するなど一定の騒音対策をしていると説明している。

(2022年11月9日朝刊掲載)

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