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世界の若者 核廃絶の思い 中区で「ICANアカデミー」成果発表会 国の立場超え方策議論

 国内外の若者が広島で被爆の実態に触れ、安全保障の在り方を考える県と非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))」の講座「ICANアカデミー」の成果発表会が12日、広島市中区の合人社ウェンディひと・まちプラザであった。核兵器保有五大国を含む20カ国の若者が受講。国の立場を超え、核兵器廃絶のための道筋についてアイデアを出し合った。(水川恭輔)

 核保有国の米国、中国、フランスを含む15カ国の24人は9日から市内で、ロシアや英国など5カ国の5人はオンラインで参加。この日が最終日となり、3班に分かれて廃絶の方策を話し合い、意見をまとめた。

 「平和への種まき」と題して発表した班は「核軍縮には市民の力が重要だ」と訴え、廃絶を目指す平和首長会議(会長・松井一実市長)の活動について各地での後押しを提案。他の2班は来年5月に市内である先進7カ国首脳会議(G7サミット)で核軍縮の議論を深めたり、核抑止による安全保障の危険性を考えたりするよう求めた。

 講座は2019年から毎年開かれ、今回で4回目となる。参加者は原爆資料館(中区)を見学し、被爆者と対話したほか、11日には中国新聞社を訪問。社員の3分の1に当たる114人が原爆の犠牲になった社の歴史や視点、英語、ロシア語などに記事を翻訳して世界に発信する試みを巡り、ヒロシマ平和メディアセンターの金崎由美センター長から説明を受けた。

 初めて広島を訪れた米国のコルビー大4年アンジー・ソンさん(22)は「核がどれほど悲惨か、原爆資料館の展示や被爆者の話で実感できた。廃絶のため、もっと多くの人が広島に来て知るべきだ」と振り返った。

(2022年11月13日朝刊掲載)

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