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核兵器の非人道性 国内外へ ANT渡部さんに贈呈 谷本清平和賞

 第34回谷本清平和賞に決まった広島市中区のNPO法人「ANT(アント)―Hiroshima」理事長の渡部朋子さん(68)=安佐南区=への贈呈式が13日、中区の広島工業大広島校舎であった。公益財団法人ヒロシマ・ピース・センター(佐伯区)の鶴衛理事長が表彰状を手渡した。

 渡部さんは1989年、前身の「アジアの友と手をつなぐ広島市民の会」を設立して代表に就任。2007年にANTに改称し、現職に就いた。広島で被爆して10年後に12歳で亡くなった佐々木禎子さんの絵本を33言語に翻訳し、各国・地域に配布。被爆者の証言を映像や冊子などで記録し、核兵器の非人道性を国内外に伝えてきた。

 この日講演した渡部さんは、ロシアがウクライナに侵攻し核兵器使用を示唆している国際情勢を踏まえ「『誰も取り残さない核のない平和な世界』を実現するため、一層努力するようにと多くの先人の皆さまが声をそろえて激励しているように感じる」と語った。

 同賞は被爆者支援に尽くした広島流川教会(中区)の故谷本清牧師の遺志を継ぎ、世界平和の実現に向けて活動する個人や団体に贈っている。これまで、カナダ在住の被爆者サーロー節子さんや俳優の吉永小百合さんたちが受賞している。(小林可奈)

(2022年11月15日朝刊掲載)

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