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被爆前後の長崎 3D画像で RECNA制作 HPで公開

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)は、長崎の爆心地周辺を撮影した米軍の航空写真を活用し、被爆前と被爆後それぞれの街の状況を俯瞰(ふかん)できる精緻な3D画像を制作した。被爆者が体験証言する際に逃げ歩いた足取りを示したり、平和学習に取り組んだりする際に役立ててもらおうとホームページで公開した。

 同大情報データ科学部の全炳徳(チョン・ビョンドク)教授らが制作した。原爆投下2日前の1945年8月7日と、その1カ月後の9月7日に「原爆の威力を確かめるため、あらゆる角度から詳細に撮影された」米国立公文書館所蔵の計29枚を使用。オンライン地図の上で画像データをつなぎ合わせ、重複する箇所や傾きを修正しながら3D画像に仕上げた。

 対象範囲は、南北に狭く平地が延びる長崎の地形の特徴を反映し、爆心地から被爆前の画像は直径20~12キロ、被爆後の画像は同12~5キロの縦長。パソコンの画面上でマウスを動かすことで、焼け野原を俯瞰しながら移動したり、被爆前後の違いを比較したりできる。

 また、全壊した浦上天主堂や約1300人が犠牲になった山里国民学校など6カ所の建物をCGで立体的に再現し、地図上に配置。当時の被害状況が立体的に分かるようにした。今後は、被爆前後に撮られた写真の提供を市民に呼びかけながら、さらに多くの被爆当時の建物をCG化して地図に載せていく。

 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館と進めている「被爆の実相の伝承のオンライン化・デジタル化事業」の一環。全教授は「証言でよく聞かれる地名や建物の被害が分かる。平和のための学びに活用を」と話す。https://nagasaki‐genbaku.reearth.io/(新山京子)

(2022年11月28日朝刊掲載)

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