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丸木位里ゆかり 画家4人を調査 広島大生ら12人、飯室の住民に報告 「芸術のまち 発信したい」

 水墨画家丸木位里(1901~95年)の出身地である広島市安佐北区安佐町飯室で、広島大(東広島市)教育学部の有志たち12人が、丸木に関わる出身画家が地域に4人いることに焦点を当てた研究を進めている。これまで調べた内容を今月、地域住民に報告した。5人の功績を冊子にまとめる計画もある。(重田広志)

 学生有志たちは昨年夏から丸木と古里の関わりを研究してきた。今年は、いずれも画家だった丸木の母スマ(1875~1956年)、妹大道(だいどう)あや(1909~2010年)、親戚の中谷ミユキ(1900~77年)、親交が深い佐々木邦彦(1909~72年)の飯室出身の4人も調査対象に広げている。

 地域の公共施設や個人宅を8月から訪問し、4人が残した絵画を調べている。丁寧な筆致で花や山、鳥などを描いており、神楽衣装の多彩な柄を重ね塗りで表現するなど細部まで描き込む作風に丸木の影響を感じ取れるものがあるという。

 今月20日には、1~3年9人と担当教員が安佐公民館で報告会を開いた。「松竹梅図」などのふすま絵を地元の寺に残した丸木と同じく4人も地域と関わりながら制作に励んだとの見方を住民40人に説明した。

 丸木を含む5人の横顔を多くの人に知ってもらおうと、今後は専門学芸員による講演会開催や冊子の発行を予定する。リーダーの3年江村健真(けんしん)さん(20)は「飯室で誕生した画家の作品が地元で受け継がれている。その価値を住民の方々と共有し、芸術のまちとして発信したい」と話している。

(2022年11月30日朝刊掲載)

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