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母国思い 奏でる平和 ウクライナ出身 民族楽器奏者カテリーナさん 安佐南 演奏会で切実な訴え

 ウクライナ出身の民族楽器奏者でチェルノブイリ原発事故の被曝(ひばく)者であるカテリーナさん(36)=東京都=のコンサートが3日、広島市安佐南区の佐東公民館であった。約200人の聴衆を前に優美な音色を披露し、ロシアの侵攻が続く故郷への思いを語った。(湯浅梨奈)

 刺しゅう入りの民族衣装で登場。弦が65本あるバンドゥーラで、母国の民謡やオリジナル曲「平和な空」など7曲を奏でた。日本語で「翼をください」の弾き語りも披露し、力強い歌声を響かせた。

 演奏後はNPO法人ANT―Hiroshima(中区)の渡部朋子理事長と対談。「みんな家族を守るために必死。子どもたちが毎日殺されています」と家族や親戚の身を案じ、「これからも音楽で平和への思いを発信したい」と決意を語った。

 カテリーナさんは生後間もなく、自宅から約2・5キロのチェルノブイリ原発事故で被曝。6歳から楽器の演奏を始めた。10歳の時に来日した経験から「遠くて安全な国」に憧れを抱き、19歳から日本で暮らす。ロシア侵攻が始まって以降は連日、全国各地で演奏活動を続けている。

 認定NPO法人ひゅーるぽん(安佐南区)などが主催。会場にはウクライナ支援の募金箱も設けられた。近くの大河みずほさん(78)は「歌も演奏も素晴らしくて涙が出た。早く戦争が終わってほしい」と願った。

(2022年12月4日朝刊掲載)

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