×

ニュース

中国人被爆者らの存在に光を 慰霊碑設立へ「考える会」結成 ボランティアガイドら

 広島で被爆した中国大陸と台湾の出身者の存在に光を当てようと、平和記念公園(広島市中区)のボランティアガイドたちが3日、「『中国人』被爆者の碑を考える会」を設立した。実態を伝える碑を公園付近に設けることを目指す。

 発起人はともにガイドで元高校教諭の楠本昭夫さん(63)=廿日市市=と多賀俊介さん(72)=西区。観光客たちに園内の韓国人原爆犠牲者慰霊碑などを案内する中で「なぜ中国人の原爆慰霊碑がないのか」との思いを強め、今年5月に準備会を開き、11月から広く市民に参加を呼びかけていた。

 この日は原爆資料館で設立集会があり、市民約50人が参加。中国大陸と台湾から様々な経緯で広島に来て被爆した人々の実態を明らかにし、碑や説明板の設置を目指すと決めた。背景には植民地支配や戦争があるとし、規約には会の目的を「日本が行った誤った歴史を繰り返させないため」と明記した。

 広島では中国大陸からの留学生12人が被爆し、うち6人が原爆死。県内で強制労働させられた中国人や、台湾出身者も被爆した。楠本さんは「歴史的事実をしっかりと継承し、日中友好のきっかけにしたい」と話していた。(水川恭輔)

(2022年12月4日朝刊掲載)

年別アーカイブ