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段原中旧校舎の被爆モニュメント入札不調 ヒロシマ継承に影響

 被爆建物で、2011年3月まで授業に使われていた段原中(広島市南区)の旧東校舎の外壁と正門の門柱を使ったモニュメントの設置が大幅に遅れている。市は当初、12年度中に設置する予定だったが、今年7月までに4回実施した入札が全て不調。建設業者の人手不足による公共事業の遅れが、ヒロシマ継承にも影響を与えた格好だ。(二井理江)

 旧東校舎と門柱は、1932年に第一高等小(41年に国民学校に改称)が、南区段原山崎町に開校したのに合わせて建設。爆心地から約2・6キロで、原爆投下により、鉄筋平屋だった校舎の窓枠や窓ガラスは壊れたが、倒壊は免れ、臨時救護所に使われた。

 戦後、2階を増築。段原中が11年4月に約600メートル南の現在地に移転するまで、1階は技術科の教室、2階はクラブの部室として使われた。

 移転で旧東校舎を解体する際、被爆した1階の窓枠から下部分の縦1・4メートル、横8メートルを切り取って保存。高さ1・8メートルの2本の門柱に両脇から挟まれる形状のモニュメントとして、同中の跡地に造成された公園内に設置する予定になっている。

 昨年12月から単独や、他の事業とセットで入札を繰り返した。しかし、応札者がなかったり、入札金額が予定価格より高かったりして、いずれも不調に終わっている。

 市は来年3月までの完成を目指して、1月9日に5回目の入札を行う。担当する市教委施設課は「平和への思いを子どもたちに育むためにも、業者が早く決まってほしい」としている。

(2013年12月30日朝刊掲載)

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