×

ニュース

エールエール方針維持 広島市 集客や事業費比較 中央図書館の再整備3案

 広島市中央公園(中区)にある市中央図書館の再整備計画で、市が現在地建て替えと公園内での移転、JR広島駅前の商業施設エールエールA館(南区)への移転の3案を比較した結果、A館への移転方針を維持することが5日、分かった。広域から来館でき、整備費も抑えられるなどの理由。14日の市議会総務委員会で説明する見通し。(余村泰樹)

 複数の関係者によると、市はまず公園内で現在地以外に整備地を確保するのは難しいと判断して再整備の候補地から除外。現在地建て替えとA館への移転について、詳細に比較した。

 その結果、A館は広域的な交通結節点の広島駅前にあるため、現在地に比べて通勤、通学する市民たちを呼び込め、買い物客や観光客も訪れやすいと指摘。来館者の増加を期待でき、広島の歴史や文化の発信にもつながるとした。

 平和への思いの共有の面では、現在地は「平和記念公園に近く一体性を感じさせやすい」としながらも、広島を知る機会の増加につながる点ではA館が勝ると整理した。

 従来示していた概算の整備費も、やや詳しく試算。A館への移転が99億8千万円なのに対し、現在地では建て替え時の仮施設の有無に応じて133億3千万円か113億5千万円と見込んだという。

 市は昨年11月に市中央図書館と映像文化ライブラリー、こども図書館のA館への移転を打ち出したが、議論不足を指摘する市議会の決議を受け、3案を詳細に比較検討した。市は、こども図書館については今年9月、市民意見などを踏まえて現在地に残す方針に転じている。

(2022年12月6日朝刊掲載)

年別アーカイブ