[2023広島サミット] 北川克郎事務局長インタビュー 首脳と被爆者 面会目指す
22年12月8日
平和発信の意義大きい
来年5月に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、外務省の実務責任者を務める北川克郎G7広島サミット事務局長が中国新聞のインタビューに応じた。開催まで5カ月余り。ロシアがウクライナに核兵器使用の威嚇を続ける中、被爆地から平和を発信する意義は大きいとし、各国首脳による被爆者との面会や原爆資料館(中区)の視察に前向きな姿勢を示した。(樋口浩二)
―ウクライナ危機を踏まえたサミットになります。
核の惨禍が繰り返されるとの懸念が世界中に広がっている。平和や核不拡散は非常に重要なテーマになる。広島県・市からも「ぜひ首脳には被爆の実相に触れてほしい」との強い要望を受けており、できるだけ実現を目指したい。
―議題の設定や各国首脳の行程づくりの見通しは。
各国の意向があり決定は開幕直前だろうが、さまざまな想定をして現地視察を重ねている。例えば瀬戸内海に浮かぶ厳島神社(廿日市市)の大鳥居は世界的にも美しい光景。首脳に見てほしい。
―広島の特産品の魅力を発信する場にもなります。
世界にアピールする絶好の機会だ。お好み焼きやカキだけでなく、穴子飯や比婆牛などおいしい食材があふれ、日本酒もある。海外メディアに味わってもらい、出身国に報道してもらう仕掛けを考えたい。
―宿泊施設の確保や警備など受け入れの課題は。
広島市内には高級ホテルも多く、大きな問題はない。ただ、会期中やその直前は利用が制限され、市民にご不便をかける。事前の情報発信で開催を周知していく。警備は、警察庁や県警と連携し、万全のセキュリティー対策を講じる。
―県民をいかにサミットに巻き込みますか。
未来を担う若者が地球規模の課題に触れる貴重な場となる。高校生や大学生が参画する場を考えたい。
きたがわ・かつろう
早稲田大法学部卒。1991年外務省入り。在フランス大使館勤務などを経て、欧州局西欧課長や在フランス大使館公使を歴任。今年7月、欧州局参事官からG7広島サミット事務局長に就いた。大分県生まれ、東京育ち。54歳。
(2022年12月8日朝刊掲載)