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子どもが見た原爆の悲劇 広島追悼祈念館で手記集紹介

 原爆投下から6年後の1951年に発行された広島の子どもたちの手記集「原爆の子」を紹介する企画展が元日、広島市中区の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館で始まる。30日に設営を終えた同館は「過酷な経験を強いられた子どもの言葉と心に触れてほしい」と来館を呼び掛けている。無料。

 「原爆の子」は広島大名誉教授の故長田新氏が編んだ。今回は収録された105編のうち、被爆当時に4歳から小学3年生までだった67人分を展示する。専用端末で英語、中国語、韓国・朝鮮語でも閲覧できる。焼け焦げた子どもの衣服、弁当箱など関連資料22点も並ぶ。

 手記には子どものまっすぐな視線で見た被爆の実態が刻まれている。小学3年で母親を失った女子生徒は「『お母さん』という言葉を聞いただけで、もう悲しくなってくる」とつづった。小学5年の女児は、3歳の弟の最期を「『タアタン、タアタン』とお母さんをよびながら、死にました」と振り返る。

 安佐南区の早志(旧姓山村)百合子さん(77)も当時、手記を寄せた1人。爆心地から1・6キロの自宅で被爆後、遺体の重なる山道を逃げた体験を記した。早志さんは「つらかったが、目にしたままを書いた。直に語ることができる人が減っているいまこそ、つづられた事実を受け止めてほしい」と願う。

 31日は休館。企画展は来年12月28日まで。(田中美千子)

(2013年12月31日朝刊掲載)

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