[ヒロシマの声 NO NUKES NO WAR] 「核には核を」許されぬ 元自民党幹事長 古賀誠さん(82)=福岡県みやま市
22年12月9日
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ロシアがウクライナに攻め入って戦禍が続いている。戦術としての核兵器の使用は現実問題としてはあり得る。だが、ひとたび核戦争になれば、勝者も敗者もない。地球が滅びる。人類を挙げて阻止することが、今を生きるわれわれの責任ではないか。
核には核を―。世界で強まるこうした議論は決して許されない。日本は初めて核兵器の惨禍にさらされた、たった一つの被爆国。世界に核の恐ろしさ、愚かさを発信する責務がある。
太平洋戦争でどれだけの血と涙が流れたか。日本遺族会の会長として、肉親を失った悲しみに触れてきた。被爆地を背負う岸田首相が今、国民を守るため、防衛力を「抜本強化」するという。だが、一方が兵器や軍事力を強めれば相手はさらに上回ろうとする。抑止は利かず、際限のない競争になる。
北朝鮮がミサイルを撃つ、ロシアがウクライナを攻める。そんな現実があっても、政治は平和という理想を実現するためにある。首相は国民をこう説得してほしい。
日本には先の大戦の反省から生まれた憲法9条がある。戦後外交ではこの9条と日米安全保障条約、二つの中心が均衡を保ちながら平和を維持してきた。まさに故大平正芳元首相が唱えた「楕円(だえん)の理論」だ。この思想を大切にする時だ。(聞き手は樋口浩二)
(2022年12月10日朝刊掲載)