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首相「核廃絶 G7へ議論深める」 国際賢人会議 初会合閉会

 国内外の有識者や外交官が核兵器廃絶の道筋を探る国際賢人会議は11日、広島市南区のグランドプリンスホテル広島で2日目の討議をし、初会合を終えた。岸田文雄首相は閉会セッションで、2023年5月に市で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)へ「核兵器のない世界に向けた力強いメッセージを発信できるよう議論を深めたい」と述べた。2回目の会合を広島サミット前の来春に開く。

 首相は閉会後、広島サミット主会場候補でもあるホテルの客室や瀬戸内海を望むプールサイドを視察。報道各社の取材に「今回の会議録を振り返って内容を咀嚼(そしゃく)し、広島サミットにつなげたい」と語った。

 11日の会議には初日に欠席した1人が合流し、核兵器保有国と非保有国の13人が対面で参加。核軍縮に向け優先的に取り組む事項などについて非公開で意見を交わした。26年に予定される次の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けて議論を重ね、25年をめどに成果文書をまとめる方針だ。

 会議座長で熊本県立大の白石隆理事長は閉会後の記者会見で「NPTへの不満が高まっているとの共通認識があり、どうすれば良いのか率直な議論があった」と説明した。23年春に対面とオンラインで2回目の会合を開き、秋にも3回目の会合を持つ考えを示した。

 会見に同席したドイツのアンゲラ・ケイン元国連事務次長兼軍縮担当上級代表は「広島に来れば、いつも心を強く動かされる」と強調。ローズ・ガテマラー元米国務次官は「被爆者の英語の証言に強い衝撃を受けた」と語った。

 委員13人は討議に先立つ11日午前、中区の平和記念公園を訪れた。白石氏とケイン氏が原爆慰霊碑に献花し、黙とうした。原爆資料館も見学し、広島の街並みが一瞬で破壊された様子をCGで伝える「ホワイトパノラマ」に見入った。

 国際賢人会議は岸田首相が外相時代に提唱した国内外の有識者による賢人会議を発展。初会合には、16年に現職米大統領として初めて広島を訪れたオバマ氏たち6人がビデオメッセージを寄せた。(山本庸平)

(2022年12月13日朝刊掲載)

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