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W杯の友好 さらに深める 駐スペイン大使 中前隆博氏

 駐スペイン大使に就任した広島市東区出身の中前隆博氏(62)が中国新聞の取材に応じた。サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会で日本との試合が世界の注目を集めたのを機に「スポーツを通じて強まった友好をさらに深めたい」と意欲を見せる。

 両国は1次リーグで対戦し、日本が逆転で金星を挙げた。「日本は素晴らしい時間を過ごさせてもらった」とスポーツの魅力を実感。「赴任はいいタイミング」と捉える。

 「大きなチャレンジ」と位置付けるのが交流サイト(SNS)の活用だ。前任地のアルゼンチンで大使としての個人アカウントを始めた。「思いを伝えやすい。試行錯誤しながら新しい外交の形を確立したい」

 スペイン赴任は34年ぶり。「実は再生可能エネルギーの先進的な国」と話す。エネルギーなど幅広い分野で日本企業との協力の広がりに期待し、「互いに得意なものを生かし、利益につなげることが一つのテーマ」と未来を見据える。

 広島学院中・高から東京大法学部に進み、1985年外務省入り。イラクやブラジルなど海外赴任は10度目となる。復興した今の広島を通じて悲惨な体験をどう克服したのかを見てほしい―。そう思いを込め、各国の要人たちに被爆地訪問を促してきた。「スペインでも機会があるごとに訴えたい」(口元惇矢)

(2022年12月13日朝刊掲載)

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