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[2023広島サミット] 首相、議題「核廃絶」前向き 広島・長崎市長要望 保有国との調整必要

 岸田文雄首相は13日、来年5月に広島市で開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)を巡り、松井一実広島市長、田上富久長崎市長と官邸で面会した。「核兵器廃絶」を議題にするよう求めた両市長に対し、歴代政権と同じく「核軍縮」を唱えてきた首相は要請を検討するとした。核兵器を持つ米国、英国、フランスなどG7各国と調整が必要との認識も示した。

 「核兵器のない世界」の実現をライフワークとしながら、米国の「核の傘」を事実上肯定する首相に向け、両市長は核廃絶の議論を深めるよう要請。非公開の会談後、報道陣の取材に応じた松井市長によると、首相は「要請を受け止め検討する」と答えたという。

 G7で核兵器を保有する3カ国のうち、首相が特に神経を使うのは米国だ。この日の面会でも「米国を中心とする国との信頼関係を維持しながら、どう具体的に対応するか考える」と慎重に言葉を選んだようだ。

 首相は広島サミットで、各国首脳による原爆資料館(中区)視察や被爆者との対話の場を設けることに改めて前向きな姿勢も示した。10、11日に広島市で初会合を開いた国際賢人会議で、各国の有識者が被爆者の証言に心を動かされたとのエピソードを紹介。「(有識者の)反応が良かったことも考慮して、検討したい」と述べたという。

 国際賢人会議の開会セッションに寄せたメッセージで、首相は「核兵器のない世界への道のりを歩まなければならない。広島で開催されるG7サミットで議長を務める私の強い思いだ」と訴えた。(中川雅晴)

(2022年12月14日朝刊掲載)

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