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[変わる街] 「花の精」 にぎわいの象徴に 円鍔彫刻 ハノーバー庭園そばに移設

来春開業 イベント広場近く

 広島市は、広島城三の丸(中区)にあった「花の精」像を市中央公園(同)のハノーバー庭園そばに移設した。尾道市出身の彫刻家、円鍔(えんつば)勝三氏(1905~2003年)の作品。新天地は、23年春に旧市民球場跡地に開業する中央イベント広場「ひろしまゲートパークプラザ」に近く、にぎわう街のシンボルの一つになりそうだ。(川上裕)

 花飾りをまとった女性5人の群像で、直径1・3メートル、高さ約2・3メートルの大理石製。市は像にこびりついたコケを落とし、本来の真っ白な姿に戻して移し替えた。ただ、庭園付近は現在、旧市民球場跡地の再整備工事で立ち入り禁止となっており、市民が間近で眺められるのは工事が終わる23年春になるという。

 像は73年に県内の花き業者の団体が、復興する街に彩りを添えてほしいと、市に寄贈。市により噴水や花壇も併設された。毎年5月に像の前で花の供養祭が営まれている。

 ただ、三の丸では市が新サッカースタジアム(24年2月開業)とつながるぺデストリアンデッキ(歩行者専用橋)を建設。26年度までに「にぎわい施設」なども相次いで建てる。敷地が手狭になるため、同じ公園内の南西約350メートル先にあるハノーバー庭園北側への移設を決めたという。

 近くの平和記念公園には円鍔氏が手掛けた平和祈念像や赤い鳥文学碑がある。寄贈した業界団体代表の孫で市中央卸売市場の荷受会社、花満(西区)の和田由里取締役(60)は「平和を願うシンボルをこれからも大切にしたい」と話している。

(2022年12月14日朝刊掲載)

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