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カザフと交流さらに 被曝者支援団体 広島の「ヒロセミ」 契機の広島ア大会から20年

 カザフスタンの核実験による被曝(ひばく)者支援に取り組む広島の市民グループ「ヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクト」(ヒロセミ、佐々木桂一世話人代表)は、設立のきっかけとなった広島アジア競技大会の開催から20年の今年、大会を機にスタートした同国の若者との交流や、医療支援活動に一層力を入れる。

 夏には、カザフスタンの若者を原発事故のあった福島に初めて派遣。現地の若者と交流する。被爆地広島からの参加者も交えた三つの核被害地の若い世代が、核問題や原発について議論できる場を設ける。

 旧ソ連最大のセミパラチンスク核実験場の閉鎖が宣言された8月29日前後には、ヒロセミのメンバーがセメイ市(旧セミパラチンスク市)などを訪問。市内の子ども病院に行き、核実験場周辺で増えているという白血病患者のための医薬品を贈る。

 また、数年後をめどにセメイ市内に平和博物館が開館するのに合わせ、広島の市民団体「緑の遺産ヒロシマ」などと協力し、被爆樹木の種や苗を贈る準備も進める。

 副世話人代表の小畠知恵子さん(61)=中区=は「20年の節目を交流促進の好機と捉えている。核のない世界を実現するため、次代を担う若者同士が連携できるようサポートしたい」と話している。(増田咲子)

ヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクト(ヒロセミ)
 カザフスタンの住民と交流し、旧ソ連時代に繰り返された核実験の被曝(ひばく)者に対する医療支援や、広島への留学生受け入れなどをサポートしている広島の市民グループ。鈴が峰公民館(広島市西区)周辺の住民が中心になって1998年に設立した。94年に開かれた広島アジア競技大会に向け、広島市内の公民館と地域住民が参加国・地域の応援に取り組んだ「一館一国運動」で、鈴が峰公民館がカザフスタンを応援したのがきっかけになった。

(2014年1月6日朝刊掲載)

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