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田母神氏らに抗議文 被爆者7団体へ 8・6講演に反発

■記者 東海右佐衛門直柄

 広島の被爆者7団体は30日、8月6日に広島市中区で講演する田母神俊雄・前航空幕僚長と、主催する日本会議広島(松浦雄一郎会長)に、抗議文を送る方針を決めた。核武装論を唱える田母神氏が「原爆の日」に講演することに反発している。

 今後は原水禁国民会議や日本原水協などとも協議し、抗議声明の発表や街頭抗議活動の実施も検討する。7団体の一つ、県被団協の坪井直理事長は「言論の自由を束縛するわけではない。ただ、核武装を唱える人が8月6日の広島で講演するのは被爆者の心情を逆なでする」と訴え、日程変更などを求める。

 7団体はほかに、もう一つの県被団協(金子一士理事長)▽広島被爆者団体連絡会議▽県朝鮮人被爆者協議会▽県労働組合会議被爆者団体連絡協議会▽市原爆被爆者協議会▽韓国原爆被害者対策特別委員会。

 田母神氏は8月6日、「ヒロシマの平和を疑う」と題し、中区のメルパルク広島で講演する。


「核武装主張の講演ではない」 日本会議広島

 田母神俊雄・前航空幕僚長の講演を8月6日に広島市内で主催する日本会議広島は30日、「核武装の議論はするが、核武装を主張するための講演でない」とコメントした。秋葉忠利市長が「被爆者や遺族の悲しみを増す」と日程変更を要請したのを受け、中国新聞の取材に答えた。

 日本会議広島事務局は「核兵器がない世界を求めることについて市と同じ思い。平和へのアプローチが違うだけだ。真の平和構築を考える講演会にしたい」と強調。一方で、市長の要請について「民間団体を排除する動き。思想信条を侵害することになる」と指摘し、文書回答も検討しているという。

 田母神氏の事務所(東京)は「主催者からの依頼がないかぎり日程変更はしない」としている。

(2009年7月1日朝刊掲載)

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