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大久野島毒ガス対策協副会長 藤本安馬さん死去 96歳 証言活動に尽力

 大久野島毒ガス障害者対策連絡協議会(竹原市)の副会長、藤本安馬さん(三原市)が11日、病気のため96歳で死去した。大久野島にあった旧陸軍の毒ガス製造工場で働いた経験を基に、「負の歴史」の証言活動などに尽力。関係者から惜しむ声が上がった。

 協議会は被害者団体と竹原市などの自治体で構成。藤本さんは14歳で養成工として製造の現場に加わり、当時覚えた化学方程式を忘れることはなかった。戦後約40年を経て証言を始め、毒ガスの非人道性や被害の実態を若い世代を中心に伝えた。被害者支援の拡充のため、国などへの要望活動にも参加した。

 協議会会長の今栄敏彦市長は「毒ガスの恐ろしさを後世に伝えようと、精力的に活動されていた」。被害者団体役員の伊勢本学さん(86)は「とても熱心な人で大きな存在。本当に残念だ」と悼んだ。

 藤本さんは2004年、戦時中に毒ガスが使われた中国・河北省を訪れ、家族を失ったという現地の人の話を聞いた。活動を支えた市民団体「毒ガス島歴史研究所」の山内静代代表(74)は「加害の歴史に誠実に向き合い、平和を強く願っていた。藤本さんの思いを引き継いでいかなければならない」と語った。(渡部公揮)

(2022年12月15日朝刊掲載)

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