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中央図書館移転 決定へ 広島市 議会委に計画説明 エールエール方針維持

 広島市中央公園(中区)にある市中央図書館の再整備計画で、市は14日、JR広島駅前の商業施設エールエールA館(南区)への移転方針を維持すると市議会総務委員会(9人)で説明した。現在地での建て替えに比べて交通アクセスが良く、整備費も抑えられると判断。市議から賛否両論が出たが、有識者でつくる審議会へ月内に説明した上で、正式に移転を決める。(余村泰樹)

 市は、中央図書館と併設の映像文化ライブラリーの移転先を巡り、A館は広域的な交通結節点にあり、現在地に比べて通勤、通学の市民や観光客を呼び込めると指摘。平和発信の面では平和記念公園に近い現在地の立地を評価しながらも、広島を知る機会が増える点はA館が勝ると整理した。

 財政面でもA館の優位性を強調。A館の概算整備費は土地・建物取得と改修費を含め99億8千万円で、現在地より約14億~34億円安く、維持費を含めた40年間に必要な費用もA館は147億8千万円で、現在地を下回るという。所蔵する3万点以上の「広島文学資料」は今後も増えれば、中央図書館とは別の文学館の設置も視野に検討する可能性に触れた。

 市の説明に対し、市議からは「交通の利便性が良く、障害者が行きやすい」などと賛成意見が出た一方、「現在地で新築した方が耐用年数が長く、1年当たりのコストは安い」などの反対意見もあった。

 市は2021年11月、中央図書館など3施設のA館への移転方針を表明。22年度の関連予算を同年3月に市議会で認められた際に、現在地建て替え、中央公園内の移転と詳細に比較検討した資料の提示を求められていた。公園内の移転は整備地の確保が難しいとして候補地から除いた。

 資料はこの日、市ホームページでも公表した。市生涯学習課は「審議会でA館への移転が物理的に困難とならない限り、市の方針を変えることはない」としている。

(2022年12月15日朝刊掲載)

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