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「目指すべきは平和外交」 有識者ら 改定を批判 独自提言

 政府の安全保障関連3文書改定を前に、核兵器廃絶に取り組む非政府組織(NGO)代表や国際政治の専門家が創設した平和構想提言会議が15日、国会内で記者会見し、対案とする独自の提言を公表した。他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有などで「軍事的リスクは高まる」と指摘。日米同盟「一辺倒」から脱し、アジア重視の平和外交を強めるよう求めた。

 同会議は、安保3文書改定が防衛・安保政策の「重大な転換」になると強調。共同座長の一人でNGOピースボートの川崎哲(あきら)共同代表は、日本が反撃能力を行使してミサイル攻撃に踏み切った場合、憲法9条に基づく専守防衛が覆される上、「報復攻撃を受け、軍事的なリスクは高まる」と批判した。

 政府が目指すべきは「平和外交を展開すること」だとし、中国や北朝鮮との関係改善の必要性を唱えた。防衛費の増額に関しても「社会保障や医療などの施策がますます犠牲にされる」との懸念を示した。

 政府による決定過程を「拙速」と問題視する声も相次いだ。もう一人の共同座長で学習院大の青井未帆教授(憲法学)は「憲法9条があるのに自衛の措置として反撃能力が持てるのか。議論が圧倒的に足りない」と訴えた。会場には市民や国会議員たち約60人が集まった。(中川雅晴)

(2022年12月16日朝刊掲載)

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