×

ニュース

ゲンのメッセージいま一度 生前の記録映画を上映 中沢啓治さん没後10年 中区で19日

 自身の被爆体験を基に広島で生き抜く少年を描いた「はだしのゲン」で知られる漫画家・中沢啓治さんの死去から10年となる19日夜、作品に込められた思いについて共に考える集いが中区である。中沢さんの半生を追い、生前の2011年に公開されたドキュメンタリー映画「はだしのゲンが見たヒロシマ」(77分)を上映する。

 製作プロデューサーを務め、現在はNPO法人ANT―Hiroshima(中区)スタッフの渡部久仁子さん(42)が「ウクライナ戦争もあり世界情勢が一層不安定な今こそ、中沢さんの平和への訴えを知ってほしい」と企画した。上映後、渡部さんと参加者とのトークイベントがある。

 中沢さんは6歳の時に爆心地から約1・2キロで被爆。父と姉、弟、さらには妹も失った。映画は、中沢さんが被爆体験とともに揺るぎない戦争反対と核兵器廃絶への意志を語るインタビュー映像などで構成する。

 来年は「週刊少年ジャンプ」誌での「ゲン」連載開始から50年。中沢さんの死後、戦争の惨状を巡る描写の「過激さ」などを理由とした学校での閲覧制限が各地で問題になったが、逆風下でも着実に読み継がれてきた。20カ国語以上に翻訳されている。

 午後7~9時、中区土橋町のカフェ「ハチドリ舎」。定員30人。1500円(ドリンク込み)。渡部さん☎082(502)0428。(湯浅梨奈)

(2022年12月16日朝刊掲載)

年別アーカイブ