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首相が年頭会見 憲法改正議論を加速 原発新増設は否定

 安倍晋三首相は6日、三重県伊勢市で年頭記者会見に臨んだ。集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更や憲法改正の議論を加速させるべきだとの認識を表明。昨年末の靖国神社参拝に反発する中韓両国に対し、「真意を直接説明したい」と首脳会談の実現をあらためて呼び掛けた。「目指すのは経済の好循環と収入アップの実現だ」とも述べ、今春には国民が収入増を実感できる景気回復を実現する意欲を示した。

 憲法改正について「時代の変化を捉えて、憲法解釈の見直しや憲法改正について国民的な議論をさらに深めるべきだ」と指摘。同時に「世界の平和と安定のため、これまで以上に積極的な役割を果たす」と述べ、首相が掲げる積極的平和主義に基づく安全保障政策を進める考えを打ち出した。

 靖国参拝に関しては「誠意を持って真意を説明すれば必ず理解される。前提条件を付けずに首脳同士が胸襟を開いて話をするべきだ」とし、憲法解釈変更や憲法改正も含めて中韓両国に説明したいとした。

 経済再生への取り組みも重ねて強調。24日に召集予定の通常国会を「好循環実現国会」と位置付けた。さらに成長戦略について、ことし半ばに改定を目指すとし、雇用や人材、農業などの分野を中心に今後の検討方針を明らかにすると述べた。

 4月の消費税増税には「経済成長、デフレ脱却、財政再建を一度に達成するよりほかに道はない」とあらためて理解を求めた。

 また、原発に関して「エネルギー源の多様化と既存原発の再稼働の判断に集中する」と説明。中国電力上関原発(山口県上関町)などの新増設は「現在のところ全く想定していない」と語った。

 東日本大震災の復興加速に努めるほか、環太平洋連携協定(TPP)交渉の妥結について「最終的な着地点をどう見いだしていくか、知恵を出して大局的な判断をする」とした。(城戸収)

(2014年1月7日朝刊掲載)

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