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原爆供養塔の清掃続け被爆体験語った 佐伯敏子さんの足跡学ぶ 広島で講座

 長きにわたり平和記念公園(広島市中区)に通って原爆供養塔の清掃を続け、訪れる人たちに被爆体験を語った佐伯敏子さん(2017年に97歳で死去)。その足跡を学ぶ講座が広島市中区で開かれた。親交のあった市民団体「ヒロシマ・フィールドワーク実行委員会」の中川幹朗代表が、在りし日の姿を語った。

 佐伯さんは原爆で母親をはじめ多くの肉親を奪われた。自身は郊外から家族を捜しに市内へ入り被爆。身元不明や引き取り手のない遺骨が納められた供養塔を「原爆納骨安置所」と呼び、1998年に脳梗塞で倒れるまで40年以上掃除を続けた。遺骨の遺族を捜し、返還にもつなげた。

 先頃、佐伯さんの証言集をまとめた中川さんは、亡くなった人々の無念を伝え続けた佐伯さんの行動や言葉を、資料を交えて紹介。亡くなって5年がたち、「今広島で、どれだけの人が佐伯さんに関心を持っているか」と投げかけ、先人から学ぶ重要性を訴えた。

 NPO法人ワールド・フレンドシップ・センター(西区)が続ける「Hiroshimaをつ・た・え・る基礎講座」の一環。約35人が参加した。(森田裕美)

(2022年12月19日朝刊掲載)

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