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「外交交渉の説得力に」 防衛強化 被爆地の懸念に持論

 岸田文雄首相は16日、安全保障関連3文書の改定を受けた記者会見で、被爆地広島から「防衛費の大幅増は軍拡競争につながる」との懸念が上がっている点について、持論を述べた。最も重要な安全保障の手段は「外交力だ」とした上で「その裏付けが必要。国民を守るしっかりとした体制を持つことが、外交交渉の説得力になる」と説いた。

 首相は3文書改定が「戦後の安保政策を大きく転換するもの」と認めながらも「(防衛強化によって)抑止力、対処力を向上させることで、わが国への現実的な武力攻撃の可能性を低下させる」と主張した。

 国民の懸念については「なぜ今、防衛力を強化するのか。理解につながるよう、政府として努力していく」とし、今後も説明を尽くす姿勢を強調。「平和国家としての日本の歩みは全く不変だ」とも訴えた。

 改定3文書に、自衛目的で他国領のミサイル基地などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有が明記され、憲法9条の専守防衛が覆されるとの指摘に関しては「専守防衛は堅持する」と反論。「憲法をはじめとする法体系を守り、その範囲内で考えていく」と説明した。(樋口浩二)

(2022年12月17日朝刊掲載)

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