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核廃絶 NZで誓った千羽鶴 国際会議の参加者 被爆者の田中さんに託す

原爆の子の像にささげる

 ニュージーランドで11月に開かれた核問題を議論する会議に出席した被爆者の田中稔子さん(84)=広島市東区=が19日、南太平洋地域から参加した学生や専門家たちが折ってくれた千羽鶴を平和記念公園の原爆の子の像にささげた。同国は、昨年発効した核兵器禁止条約の実現を主導した国。鶴に込められた「ともに廃絶を訴える」との誓いをかみしめた。(新山京子)

 ニュージーランドで託され、持ち帰った色とりどりの折り鶴は千羽以上。田中さんは折り鶴ブースに掲げ、写真を撮った。参加者に送り「約束」を果たした報告をするという。今後、田中さんの証言活動に協力するNPO法人ピース・カルチャー・ビレッジ(PCV、三次市)が鶴を平和学習に活用する予定だ。

 会議は、11月25、26日に南東部ダニーデンの国立オタゴ大であった。マーシャル諸島やフィジー、オーストラリアなど、核実験場となった国や地域の研究者らが企画。核被害者が連帯し、人権を訴えることを目指して約30人が参加。オンライン配信もされた。

 知人のつてで会議に招かれた田中さんは、爆心地から2・3キロで被爆した6歳の時の体験を語った。参加者からは「被爆者の証言を直接聞いたのは初めて」と言われた。日本では気付いていなかった核被害者の関心分野も。東京電力福島第1原発事故の汚染水から主だった放射性物質を取り除いて太平洋に流す日本政府の方針について、相次ぎ懸念が示されたという。

 核実験被害者の家族から「被爆者が核兵器の非人道性を訴え続けていることに力をもらった」と声を掛けられ、自分も力をもらったという田中さん。「核を巡る問題は国境を超えて取り組まなければいけない。ここで得たつながりを大切にしていきたい」と話した。

(2022年12月20日朝刊掲載)

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