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原爆症基準見直し 慎重 厚労相 日本被団協などと協議

 日本被団協など3団体は20日、原爆症の認定基準を巡る厚生労働省との定期協議に臨んだ。被爆者が老いを深める中、認定基準の早期見直しを求めた3団体側に対し、加藤勝信厚生労働相は「(見直しには)新たな科学的な知見が必要」と慎重な姿勢を見せた。

 被団協、原爆症認定訴訟の全国原告団、全国弁護団連絡会の役員たち12人が出席し、被爆者たち約50人も傍聴した。被団協の木戸季市事務局長(82)は認定申請を却下された被爆者が国を提訴し、勝訴したケースも多いと強調。「疾病と被爆の関係を否定できない以上は、原爆被害と認めるべきだ」と訴えた。

 加藤氏は専門家の議論を踏まえ、国は認定していると説明。「新しい科学的知見がない中で(認定基準を)変更するのは難しい」と述べた。

 定期協議は、集団訴訟の解決に向けて国と被団協が2009年に交わした確認書に基づく。集団訴訟が終結し、被爆者には協議打ち切りの懸念もあったが、加藤氏は「率直な意見や体験を聞く貴重な機会」とし、継続させる考えを示した。

 日本被団協の箕牧(みまき)智之代表委員(80)=広島県北広島町=は「被爆者救済の訴えをまだまだ続けていかないといけない」と話した。(中川雅晴)

(2022年12月21日朝刊掲載)

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