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核のない世界「言明を」 米大統領 長崎訪問検討 被爆者ら歓迎

 日米両政府が、来年5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)に合わせて、バイデン米大統領による長崎市訪問案を検討していることが分かった。実現すれば米大統領の長崎訪問は初で、「核兵器のない世界」を掲げる岸田文雄首相の同行が有力視される。

 20日、広島、長崎の被爆者たちは歓迎しつつ、核軍縮に向けた具体的な行動を求めた。

 「広島とは被害の実態が違う長崎も訪れるのは良いことだ。被爆証言を聴き、被爆者や被爆地に寄り添ったメッセージを世界に発してほしい」。広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(80)は、バイデン氏の長崎訪問に期待した。

 16年に現職の米大統領として初めて広島市を訪れたオバマ氏は平和記念公園で被爆者と会い、演説した。バイデン氏が広島サミットに出席し、長崎も訪問すれば、在職中に二つの被爆地に立つ最初の米大統領となる。もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(78)も「核の非人道性、被爆者の苦しみを実感してほしい」と求めた。

 長崎市の被爆者も米大統領の初訪問を好意的に受け止めた。長崎県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長(79)はロシアのウクライナ侵攻を踏まえ「核のない世界の追求を言明してほしい。核兵器を使った大きな責任を負う国の大統領の言葉は重い」と訴える。

 「訪問の先にある政策転換が重要だ」と強調するのは長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の中村桂子准教授(核軍縮)。「任期が残るバイデン大統領が力を発揮できることはたくさんある。ロシア非難に終わらず、核軍縮を進めるための行動が日米両政府に求められている」と指摘する。(小林可奈)

(2022年12月21日朝刊掲載)

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