×

連載・特集

中国地方2022回顧 <下> 芸能

広島舞台の映画 快挙

各地で公演再開 希望の兆し

 広島ロケの映画作品が米アカデミー賞で受賞するなど脚光を浴びた。音楽や舞台では、新型コロナウイルスの影響で2年半にわたり滞っていた公演が夏以降ようやく本格化。各地で希望の兆しが広がった一年だった。

■映画

 3月、ロサンゼルスから朗報が届いた。大半の場面を広島で撮影した濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が米アカデミー賞で国際長編映画賞を獲得。日本映画では13年ぶりの快挙だった。濱口監督は「自分たちの街がこの映画をつくったと胸を張ってほしい」と広島にメッセージを寄せた。ロケを誘致した広島フィルム・コミッション(FC)をはじめ地元関係者が祝福し、活気づいた。

 このほか広島を舞台にした作品公開が相次いだ。芥川賞作家今村夏子(広島市安佐南区出身)の小説を原作とした森井勇佑監督の「こちらあみ子」は、新藤兼人賞金賞を受賞。2018年7月の西日本豪雨を題材とした宮川博至監督の「とべない風船」も話題を呼んだ。

 11月の広島国際映画祭2022は、コロナの影響で昨年に続きコンペティションの開催を断念。一方、海外ゲストは復活し、韓国とアイルランドの監督が来日して交流を深めた。

■音楽・イベント

 1972年のプロ化から50年を迎えた広島交響楽団の年間テーマは、「挑」だった。定期演奏会をはじめとする公演は、コロナに揺さぶられた前年と違ってほぼ予定通りに実現。下野竜也音楽総監督のもと、ブルックナーらの大曲や演奏会形式のオペラを成し遂げた。米国のレナード・スラットキンやフランスのシルバン・カンブルランら大物指揮者もタクトをとった。

 夏には初開催のひろしま国際平和文化祭(ひろフェス)が、約1カ月間にわたり広島市内で多彩なプログラムを展開。メインの指揮者コンクールは世界各地から集った精鋭の中から、日本人指揮者の大井駿が初代の優勝を飾った。アニメコンペティションでは国内外のプロと若者、市民らが作品を通じ触れ合った。

■舞台・放送

 ひろしまオペラルネッサンスの公演「ドン・ジョヴァンニ」は、2度の延期を乗り越えての熱演が観客を魅了。劇団四季は広島初上演のミュージカル「リトルマーメイド」をロングラン公演し、人気を集めた。広島のほか山口や島根で上演した「ロボット・イン・ザ・ガーデン」「人間になりたがった猫」も盛況だった。広島では神楽のホール公演を再開する動きもみられた。

 2月、広島の覆面ラジオパーソナリティー一文字弥太郎(本名・名切(なぎり)勝則)が62歳で亡くなった。RCCラジオの番組「びしびしばしばしらんらんラジオ」「週末ナチュラリスト」を中心に、笑いと温かみのあるトークを35年にわたり届けた。=敬称略 (木原由維)

(2022年12月22日朝刊掲載)

年別アーカイブ