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[2023広島サミット] 受け入れ準備 加速 地元や支援組織 歓迎 主会場が決定

 2023年5月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)の主会場が22日、候補地だった広島市南区のグランドプリンスホテル広島に決まり、地元住民や支援組織は歓迎した。今後、受け入れ準備を加速する構え。首脳たちが一帯の被爆の実態に触れるよう願う声も被爆者から上がった。

 ホテルが立つ地元、元宇品町内会の門隆興会長は「朗報」と受け止めた。「ずっと『候補地』の扱いだった。いい議論をしてもらえるよう残り5カ月、最大限もり立てたい」。町内の大規模清掃を予定する。

 「いっそうスピード感を持って準備する」と話すのは県内の官民でつくる広島サミット県民会議の林田大地・開催支援課長。「関係者と連携を密にしながら安心、安全で円滑な開催を目指す」と気を引き締めた。

 ホテルは16年にG7外相会合の会場にもなった。平瀬春男総支配人は「国際会議のノウハウやコロナ禍で培った衛生面の取り組みを生かし、よりよいおもてなしができるよう準備する」とコメントした。

 一方で、警備は重要課題の一つ。県警サミット対策課は7月に発足後、ホテルを含む建物の調査を進めてきたという。平原敏浩次席は「あらゆる脅威や危険を分析し、さまざまな事態の発生を想定して対策を進めている。要人や県民の安全確保、会議の円滑な進行に向け総力を挙げて準備する」と意気込んだ。

 特別な思いで首脳の来訪を待つのは町内に住む植園澄子さん(96)。77年前、対岸の金輪島で被爆した。当時19歳。女子挺身(ていしん)隊員として、島に運ばれてくる被爆者を救護した。「大やけどの人がずらっと寝せられてね。毎日、何人もの遺体を焼いたの」と涙し、「近くの島でもそんな悲惨なことがあった。被爆者の話を聞いて帰ってほしい」と力を込めた。

(2022年12月23日朝刊掲載)

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