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ウクライナの患者支援へ 広島大大学院の弓削教授計画 寄付募る 再生医療や歩行リハビリ

 広島大大学院医系科学研究科の弓削(ゆげ)類教授(リハビリテーション)が、ロシアの侵攻で負傷し歩行に支障が出ているウクライナの患者への医療支援を計画している。弓削教授の知人で、多くの患者が避難している周辺国ジョージアの医師とチームを組む。まずは半年以内を目標に、リハビリに必要な歩行補助装置の購入や輸送などの費用として1千万円の寄付を募っている。(下高充生)

 主に頭部外傷を負い、下半身のまひなどで歩行が難しい患者が対象。脳卒中の治療ノウハウを応用し、細胞を移植する再生医療と歩行補助装置を使ったリハビリを組み合わせる。

 計画では骨や神経に分化する「間葉系幹細胞」を日本国内でドナーから採取し、培養した上でジョージアに冷凍で輸送。現地の医師が患者に移植し、損傷した脳の神経の修復を図る。

 弓削教授が開発に携わった足首の動きを電動アシストする歩行補助装置「リゲイト」によるリハビリも実施。このセット療法で脳卒中患者の回復に効果が出ているとし、弓削教授は「積み上げた技術で何の罪もない戦争の被害者の力になりたい」とする。

 チームによると、ロシアの侵攻で頭に外傷を負い、歩行機能を取り戻すリハビリが必要な患者はジョージアに避難した人だけで2万人以上に及ぶという。寄付は計画に協力する一般社団法人ピースボート災害支援センター(東京)のホームページ上で受け付けている。同センター☎03(3363)7967=平日午前11時~午後4時。

(2022年12月24日朝刊掲載)

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