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「騒音の実態 明らかに」 第1次ではデータ得られず 岩国爆音 第2次提訴

 米軍岩国基地(岩国市)の航空機騒音を巡り、周辺住民436人が損害賠償などを国に求めて第2次提訴した26日、原告団が岩国市内で記者会見を開いた。空母艦載機が2018年に移ってきた影響を示せないまま第1次訴訟は判断されたとして、騒音の実態を明らかにすると力を込めた。(黒川雅弘、有岡英俊)

 「国際情勢を受け、基地の機能は強まった。静かな岩国を取り戻すため、爆音の被害を訴えていく」。三木健二原告団長(82)は決意を語った。

 艦載機約60機が18年3月に厚木基地(神奈川県)から岩国基地へ移った。第1次訴訟では、原告側が移転後の騒音被害について年間の測定データを得る前の19年1月に控訴審が結審した。

 国の住宅防音工事の助成対象となる「うるささ指数(W値)」75以上のほとんどの区域が、10年に滑走路が沖合に1キロ移ったため騒音が減ったとされた。W値75の一部区域では慰謝料が0円となった。弁護団の足立修一共同代表は「騒音が増した現実があったのに不当な判決だった。国の防音工事の対象になる時点で住民の受忍限度は超えている」と語気を強めた。

 第1次訴訟にも加わった藤本博司・原告副団長(81)は基地から約3キロ離れたW値75の区域に住む。「戦闘機が飛べば窓枠が震え、不安になる。75のエリアでも高台など立地によっては騒音がひどい」と訴えた。

 米海軍と海兵隊、海上自衛隊が共同使用する岩国基地には、空軍機の飛来が相次ぐ。滑走路の沖合移設に併せて整備された港湾施設には大型艦船の寄港も増えている。原告団の吉岡光則事務局長(76)は「市街地への騒音軽減や安全のため沖合移設されたのに爆音は増えた。基地の今を問う訴訟でもある」と述べた。

(2022年12月27日朝刊掲載)

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