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被爆人形 撤去後も保存 原爆資料館 松井市長が方針 企画展で活用

 広島市が原爆資料館(中区)の耐震改修工事に合わせた全面リニューアルに伴い、本館から撤去を計画している被爆者の姿を再現した人形について、松井一実市長は15日の記者会見で、撤去後も資料館で保存し、企画展などに活用する考えを示した。(岡田浩平)

 展示見直しを助言する有識者検討会議(11人)が7日の会合で、2018年度を目指す全面リニューアルを機に、展示を被爆者の遺品など「実物」中心に替え、16年3月ごろに人形を撤去する方針をあらためて確認。その上で人形を保存し、活用するよう市に提案した。

 松井市長は、検討会議の意向を踏まえ、「企画展のため、と理屈がついたので残す」と保存を明言。一方、今のような常設展示には、あらためて否定的な見解を示した。

 撤去に反対し、展示の継続を求める意見が市民の間にあることには「実物中心の展示がどのようになるか市民に十分伝わっていない。内容を具体化する中で理解を深めてほしい」と述べた。松井市長は13年10月、市民に説明する機会を設ける考えを示している。

 1991年に設置された人形はプラスチック製で、等身大の大人の女性、女学生、男児の3体。原爆投下後のがれきの街の模型を組み、さまよう様子を再現している。市平和推進課は「ジオラマも保存するかどうかは今後詰める」としている。

(2014年1月16日朝刊掲載)

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