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島根2号機 ベント設備に質問集中 規制委 安全審査を開始

 原子力規制委員会は16日、中国電力の島根原子力発電所2号機(松江市鹿島町)が新しい規制基準を満たしているかを調べる初の審査会合を、東京都内で開いた。事故時に放射性物質を薄めて放出するフィルター付き排気(ベント)設備に質問が集中した。(山本和明)

 中電常務の古林行雄島根原子力本部長が「審査の過程で新たな知見、対策が見いだされた場合、速やかに適切に反映したい」とあいさつ。津波や地震対策など、昨年12月に提出した安全審査の申請書の概要を説明した。

 規制委側からは、ベント設備への質問や意見が相次いだ。事故時に原子炉格納容器を守るために蒸気を放出する設備で、放射性物質の除去性能や運用手順が審査の焦点になると説明した。ベント設備は2号機そばの地下に設置中で、5~6月に完成する見通しだ。

 また中電は、ベント設備をもう1基設ける考えを明らかにした。テロなどでベントの機能が失われた際でも、格納容器の損傷を防ぐ対策が2018年までに義務づけられているためで、設置時期などは未定としている。

 規制委側は「可能な限り(放射性物質の)放出を低減するのは務めだ」などと指摘した。次回の会合では今後の審査での論点を示す。

 島根2号機は福島第1と同じ沸騰水型の原発。ベント設備の即時設置が義務づけられ、厳しい対策が課せられる。審査が順調に進んでいる同型の原発はこれまでなく、今後の進み具合は不透明だ。古林常務は終了後の取材に「ベント設備への注目は大きい。指摘に対し、きちんと説明できるよう準備を進める」と述べた。

(2014年1月17日朝刊掲載)

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