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連載・特集

中国5県 2022年回顧

 中国地方5県の2022年は、3年目の新型コロナウイルス禍への対応に奔走しつつ、それぞれの懸案に向き合う一年になった。広島では23年5月に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)の準備が動き出した一方、県教委で官製談合防止法違反が指摘されるなど問題が噴出。山口でも県庁内の不祥事が相次いだ。担当記者がそれぞれの県政を振り返った。

広島

サミット決定 準備急ぐ

 広島県内では22年の年明け早々、新型コロナウイルスのオミクロン株が猛威を振るった。湯崎英彦知事は3月上旬までの約2カ月間、飲食店の営業時間の短縮などを伴う「まん延防止等重点措置」を決断した。飲食業界から反発がある中で踏み切った。

 8月にピークを迎えた流行「第7波」以降は行動制限を伴う対策はせず、社会経済活動の維持と感染防止の両立に取り組む難しいかじ取りを強いられた。今月16日には県独自の「医療非常事態警報」を出すなど、年末にかけて感染者は急増している。23年も緊張の抜けない状況が続きそうだ。

 5月には先進7カ国首脳会議(G7サミット)の開催地が広島市に決まり、受け入れ準備や歓迎機運を高める事業を急ぐ。今月に入り会期中とその前後には、県内の高速道と市中心部の交通量を半減させる目標も発表した。今後は県民生活への影響をいかに抑えるかも焦点になる。

 11月には広島都市圏の医療機関を再編し、新病院を広島市東区二葉の里地区につくる基本構想を公表。長年の県の課題解消に向けた一歩を踏み出す動きも出てきた。一方で、教育分野では平川理恵教育長によるトップダウンの改革に伴うひずみも明るみになった。

 平川氏と親交のあるNPO法人に県教委が事業発注を繰り返していた問題で外部専門家が官製談合防止法などの違反を指摘した。教職員の不祥事も相次ぎ、信頼回復の道のりは険しい。(永山啓一)

(2022年12月29日朝刊掲載)

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